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【8冊目】自分の仕事ぶりを『厳しく』チェック/繰り返される入力出力



 好きな小説家は森博嗣氏だが、実用書や新書では茂木健一郎氏を好んで読んでいる。

 今日は、そんな茂木健一郎氏『脳を活かす仕事術』を紹介しよう。
 
 本書で茂木氏はブログの有用性に触れている。

 脳科学の世界では、人間の記憶は「出力→整理→意味付け」という行程を経てようやく「経験」となるらしい。

 その「出力→整理→意味付け」という作業に最適なツールの一つがブログというわけだ。

 そして、さらに、ブログにはもう一つのメリットがあるという。


"ブログを書くもう一つの理由は、出力することで経験の意味を捉え直し、自分の人生を再構成することにあります。"(p.64,65)


 この「再構成」とは、「自分の行動のハードルを高めに設定し直す」といったような意味だ。

 例えば、書評のために本を選ぶとき、「サルでもわかる!ぶつりがく」「大人のための物理学」の2冊があるとしたら、後者を選ぶだろう。

 なぜなら、見栄を張りたいからである。

 少し難しそうなものを選択し、紹介することで自分を少し大きく(賢く)見せることができるのだ。

 一見、この行動に対し「見栄っ張り」というネガティブな印象を受けるが、実はそうではない。

 普段なら手を出さない難しそうな本に背伸びをして手を伸ばす、つまり、より負荷の掛かる行動を選択するようになるのだから、成長が促進されるというポジティブな行動なのである。

 「見栄っ張り」とはある意味で「ストイック」と言えるだろう。


 また、本書の「はじめに」にこんな事が書いてあった。

 
"どんな文章が美しいのかはわかっているつもりでした。しかし、いざ自分で書こうとすると、まったく納得のいかないものしか書けないのです。その事実に呆然としていたことさえありました。"(p.5)

 この悩みは私が現在抱えているものに近い。

 このブログの目的の一つ「文章力の向上」はこの悩みの解決のためにある。

 では、茂木氏はこの悩みをどのように解消したのだろうか。

 答えは「無理矢理書いてみる」ことだそうだ。

 納得いかなくても、ひたすら書き続けるのである。

 この解決法には脳科学的な根拠があるらしい。

 まず、脳は運動系学習(アウトプット)感覚系学習(インプット)の2つの学習法を備えている。

「書く」という行為は運動系学習によって強化される。

 そして、

”運動系学習は反復でしか鍛えることができません。”(p.22)

と茂木氏は言う。

 つまり、「文章力の向上」には運動系学習が必要で、アウトプットの積み重ねがポイントとなるのだ。

 そう考えると、私の現在の目標である「目指せ!100冊書評!」も適切なものだと言える。


 もう一つ、面白いことが書かれていた。

”脳の出力を高めるためには、脳に「入力」された感動した言葉、役立ちそうな情報を、友人などに実際に話して「出力」することが大切です。その結果、その言葉や情報が自分の血となり、肉となって整理されるのです。”(p.30)

 この「誰かに話すことで自分の考えをまとめる」という行為を「talk though(throughの間違い?)」と言うらしい。

 一度、talk throughを行えば、次回同じ会話をするときに、よりまとまった形で話をすることができるそうだ。

 これを言い換えれば、「会話のコミュニケーションが会話力を付ける」と言える。

 これを前回の記事「文章はコミュニケーション」という考えと合わせれば、「文章のコミュニケーションが文章力を付ける」となる。

 文章化することで自分の考えをまとめるのだ。

 talk throughとの違いは、文章の場合、もう一度同じ内容のものを書く機会があまりない、という点にある。

 しかし、具体的には同じ内容で無くても、抽象化すれば似た内容、同じ内容になることもある。

 そういった場合に、一度文章化し考えが整理されていると、よりまとまったものが書けるのではないだろうか。


 「文章力の向上」のためには、以上のように「繰り返し文章を書く」ということが大切である。

 当然じゃないか、と思われた方もいるだろう。

 だが、脳化学的裏付けを理解しているのとないのとでは大違いである。



 最後になったが、本書の心に残った一文を紹介しよう。

 
”必ず自分の仕事ぶりを『厳しく』チェックしなければ、このサイクルは完成しません。”(p.38,39)

 インプットしたままより、アウトプットも行った方がよい。さらにアウトプットしたままよりも、アウトプットしたものを再度インプットした方がよいのである。

 そして、再度のインプットのときは、厳しいチェックが肝心なのだ。

 再度のインプットが習慣化されれば、繰り返されるインプットとアウトプットのサイクルがぐるぐる廻り始める。

 まさに「好循環」と言える。 

 今、私はあまり2回目のインプットができていない。つまり、うまく循環されていない。

 今後の課題はこの辺りにありそうだ。

 どういった形で再インプットを行うか、よくよく考えてみようと思う。


 自分の脳みそに良い循環を与えてやりたい皆さん、是非、ご一読を。

脳を活かす仕事術

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