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【7冊目】論文とはコミュニケーションの一形態/上手い文章を書くには



 プロフィールのところで公言しているように、私は「理系」に属するに人間である。

 そのため、論文を読んだり、それに近しいものを書いたりすることがある。

 そして、多くの場合、「読んだ論文」「書いた論文(のようなもの)」とのギャップにショックを受け、苦悩する。

 というのも、論じているテーマの難易に関わらず、私の文章は幼く、わかり辛いのだ。

 どうすれば、うまく書けるのか。

 この疑問を解決するため、私は本に頼ることにした。

 そこで出会ったのが、今回紹介する河野哲也『レポート・論文の書き方入門』である。

 この本のメインターゲットは大学生、特に文系の学生である。

 また、タイトルからもわかるように、論文だけでなくレポートに関しても言及している。

 本書の最たる特徴は、論文の書き方を説明する文章自体が論文の形式で書かれているところである。

 本書自体が具体例となっているため、説明の内容がどういったことを示しているのかが分かりやすい。


 実は、私がこのブログを始めるキッカケとなった本のひとつでもある。

 最初の記事にある

”そんなとき偶然ある数冊の本に出会い、「書評、テキスト批評」が読書によいということを知った。”

「テキスト批評」は、本書を通して知ったことの一つである。

 現時点では、まだまだテキスト批評を行うことは難しいが(主に能力的、時間的な都合で)、将来的には「テキスト批評」と胸を張って言える文章を書けるようになりたいと思う。

 さて、それでは、本書の心に響いた一文を紹介しよう。


”論文とはコミュニケーションの一形態で、・・・公共性を持った文章表現です。”(p.32)

 良い論文は分かりやすい。つまり、筆者とのコミュニケーションが上手くとれるのだ。

 逆に、悪い論文は、筆者とのコミュニケーションがとれない文章で作られていると言える。

 ここで間違えてはいけないのは、「会話のコミュニケーション」「文章のコミュニケーション」は別ものだと言うことである。

 分かりやすい会話をそのまま文章にしても分かり辛いことがあるし、その逆もある。

 そのため、会話が上手くなったところで、良い論文(文章)が書けるようになるとは限らない。良い論文(文章)を書くためには、当然、書き方を学ばなくてはならないのだ。

 また、筆者は「公共性」についても述べている。

 「公共性を持った文章」とは、不特定多数の人が目にする文章ということだ。

 では、公共性を持った文章には何が必要なのか。

 本書では「引用をあることを明示すること」と述べている。「誹謗中傷を行わない」といったモラルやマナーに関することも公共性と深く関わる。当然過ぎるため、本書では取り上げられていないが。

 
 文章を書くことは難しいことだ。それも「上手い文章」となるとハッタリは通用しない。

 会話の上達には「話す」ほかに、「聞く」ことも重要な要素なる。

 文章の上達も同様に、「書く」だけでなく、「読む」ことも重要であると感じる。

 コミュニケーションは相手との双方向性が大切である。

 文章は相手が見えにくいが、しっかりとコミュニケーションがとれるように、日々「読み」「書き」に磨きを掛けたい。


レポート・論文の書き方入門

河野 哲也 慶應義塾大学出版会 2002-12-13
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