忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【11冊目】『情報は1冊のノートにまとめなさい』/出会わないテクニック



 今回紹介するのは、奥野宣之『情報は1冊のノートにまとめなさい』である。

 実は、同著者の『読書は1冊のノートにまとまなさい』を続編と知らず先に読んでしまったので、その内容の補完のため本書を読んだ、というのが読むに至った経緯である。

 何故、わざわざシリーズを遡ってまで読んだのか。

 それは単純に『読書は〜』に使えるテクニックがいくつも紹介されていたからである。

 そのシリーズである『情報は〜』にもよいテクニックが紹介されているのではないか、と思ったわけである。

 私にとってはそれくらい良書だったのだ。

 中でも、最も画期的だったのは「探書リスト作成」である。

 これは『情報は〜』、『読書は〜』の両方で紹介されている。当然ながら、後者は改良版となっており、テクニックに若干の差異がある。

 「探書リスト作成」とは、「無駄な読書を減らす術」である。

 皆さんにはこういった経験がないだろうか。


 たまたま近くを通りかかったので書店へ立ち寄ってみた。もちろん、買う予定の本など無い。

 とりあえず、雑誌の新刊が出ていないかチェックしてみよう、と店の中を少し巡る。

 すると視界に飛び込んでくる様々な宣伝やポップ

 気が付けば、本を手に取り、帯や『はじめに』、目次等に目を通してしまっている。

 そのまま、「良い本見つけたな〜」と思いレジへ・・・

 
 本の衝動買いである。

 勿論、これで良書と出会う可能性もあるが、実際のところ、それは非常に稀なケースである。

 「探書リスト作成」はそのような、読む必要のない本との出会いを減らしてくれるのだ。

 このテクニックを知るまで、私は無駄な本をたくさん読んできたように思う。

 では、なぜ、良書でも無いものを衝動買いしてしまうのか。そして、それを繰り返してしまうのか。

 それは、売り方の巧妙さにある。

 書籍業界の人間は、その本が良書であろうと無かろうと、食っていくために本を売る必要がある。

 そのような業界で、売り方の巧妙さが増すのは自然である。

 この問題は、後日当ブログで紹介するショウペンハウエル『読書について』でも取り上げられている。

 ちなみにショウペンハウエルの『読書について』は150年程前に書かれたものである。そのような時代からこの問題はあったのだ。

 このような一種のマインドコントロールのような戦術に対応するのが、「探書リスト作成」なのである。

 宣伝ポップが生み出す衝動性を極力減らし、明確な目的を持って本を購入するのである。

 テクニックの詳細については、是非、本を手にとって読んでもらいたい。

 私は探書リストのおかげで本選びにおいて後悔が少なくなった

 余談だが、著者の探書リスト作成法では、専ら紙を使っているが、私は面倒なのでEverNoteを使用している。


 さて、『情報は1冊のノートにまとまなさい』を読んで、心に響いた一文を紹介しよう。

”忙しいときほど暇なときにやるべきことを思いつき、遊んでいるときほど仕事につながるアイデアを考えつく”(p.122)

 確かにそうである。

 いったい何故だろうか。

 「忙しいときほど暇なときにやるべきことを思いつ」くのは、恐らく、喉が渇けば、飲みたいものが頭に浮かぶのと同じことだろう。

 忙しいから暇が欲しくなる。暇が欲しいと、その暇がどんなものか想像(妄想)したくなる。

 「遊んでいるときほど仕事につながるアイデアを考えつく」のは、かなり一般的に知られていることだ。

 アイデアを捻り出すため、机にへばりついていたが思いつかず、気分転換に散歩に出掛けると、あっさり解決した。

 よく聞く話である。

 つまり、創造にはある程度のリラックスが必要なのだ。

 ここでポイントは思いついたことはメモした方がよい、ということである。

 パッと浮かんだアイデアほどパッと消えるからだ。

 これは記憶に留めたり、思い出すための脈略がないためだろう。

”忙しいときほど暇なときにやるべきことを思いつき、遊んでいるときほど仕事につながるアイデアを考えつく”

 このように普段から軽く身構えて置けば、仕事も遊びもアイデア豊富な充実した生活が送れるかもしれない。


情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」 (Nanaブックス)

奥野 宣之 ナナ・コーポレート・コミュニケーション 2008-03-12
売り上げランキング : 10464
by ヨメレバ
PR

【8冊目】自分の仕事ぶりを『厳しく』チェック/繰り返される入力出力



 好きな小説家は森博嗣氏だが、実用書や新書では茂木健一郎氏を好んで読んでいる。

 今日は、そんな茂木健一郎氏『脳を活かす仕事術』を紹介しよう。
 
 本書で茂木氏はブログの有用性に触れている。

 脳科学の世界では、人間の記憶は「出力→整理→意味付け」という行程を経てようやく「経験」となるらしい。

 その「出力→整理→意味付け」という作業に最適なツールの一つがブログというわけだ。

 そして、さらに、ブログにはもう一つのメリットがあるという。


"ブログを書くもう一つの理由は、出力することで経験の意味を捉え直し、自分の人生を再構成することにあります。"(p.64,65)


 この「再構成」とは、「自分の行動のハードルを高めに設定し直す」といったような意味だ。

 例えば、書評のために本を選ぶとき、「サルでもわかる!ぶつりがく」「大人のための物理学」の2冊があるとしたら、後者を選ぶだろう。

 なぜなら、見栄を張りたいからである。

 少し難しそうなものを選択し、紹介することで自分を少し大きく(賢く)見せることができるのだ。

 一見、この行動に対し「見栄っ張り」というネガティブな印象を受けるが、実はそうではない。

 普段なら手を出さない難しそうな本に背伸びをして手を伸ばす、つまり、より負荷の掛かる行動を選択するようになるのだから、成長が促進されるというポジティブな行動なのである。

 「見栄っ張り」とはある意味で「ストイック」と言えるだろう。


 また、本書の「はじめに」にこんな事が書いてあった。

 
"どんな文章が美しいのかはわかっているつもりでした。しかし、いざ自分で書こうとすると、まったく納得のいかないものしか書けないのです。その事実に呆然としていたことさえありました。"(p.5)

 この悩みは私が現在抱えているものに近い。

 このブログの目的の一つ「文章力の向上」はこの悩みの解決のためにある。

 では、茂木氏はこの悩みをどのように解消したのだろうか。

 答えは「無理矢理書いてみる」ことだそうだ。

 納得いかなくても、ひたすら書き続けるのである。

 この解決法には脳科学的な根拠があるらしい。

 まず、脳は運動系学習(アウトプット)感覚系学習(インプット)の2つの学習法を備えている。

「書く」という行為は運動系学習によって強化される。

 そして、

”運動系学習は反復でしか鍛えることができません。”(p.22)

と茂木氏は言う。

 つまり、「文章力の向上」には運動系学習が必要で、アウトプットの積み重ねがポイントとなるのだ。

 そう考えると、私の現在の目標である「目指せ!100冊書評!」も適切なものだと言える。


 もう一つ、面白いことが書かれていた。

”脳の出力を高めるためには、脳に「入力」された感動した言葉、役立ちそうな情報を、友人などに実際に話して「出力」することが大切です。その結果、その言葉や情報が自分の血となり、肉となって整理されるのです。”(p.30)

 この「誰かに話すことで自分の考えをまとめる」という行為を「talk though(throughの間違い?)」と言うらしい。

 一度、talk throughを行えば、次回同じ会話をするときに、よりまとまった形で話をすることができるそうだ。

 これを言い換えれば、「会話のコミュニケーションが会話力を付ける」と言える。

 これを前回の記事「文章はコミュニケーション」という考えと合わせれば、「文章のコミュニケーションが文章力を付ける」となる。

 文章化することで自分の考えをまとめるのだ。

 talk throughとの違いは、文章の場合、もう一度同じ内容のものを書く機会があまりない、という点にある。

 しかし、具体的には同じ内容で無くても、抽象化すれば似た内容、同じ内容になることもある。

 そういった場合に、一度文章化し考えが整理されていると、よりまとまったものが書けるのではないだろうか。


 「文章力の向上」のためには、以上のように「繰り返し文章を書く」ということが大切である。

 当然じゃないか、と思われた方もいるだろう。

 だが、脳化学的裏付けを理解しているのとないのとでは大違いである。



 最後になったが、本書の心に残った一文を紹介しよう。

 
”必ず自分の仕事ぶりを『厳しく』チェックしなければ、このサイクルは完成しません。”(p.38,39)

 インプットしたままより、アウトプットも行った方がよい。さらにアウトプットしたままよりも、アウトプットしたものを再度インプットした方がよいのである。

 そして、再度のインプットのときは、厳しいチェックが肝心なのだ。

 再度のインプットが習慣化されれば、繰り返されるインプットとアウトプットのサイクルがぐるぐる廻り始める。

 まさに「好循環」と言える。 

 今、私はあまり2回目のインプットができていない。つまり、うまく循環されていない。

 今後の課題はこの辺りにありそうだ。

 どういった形で再インプットを行うか、よくよく考えてみようと思う。


 自分の脳みそに良い循環を与えてやりたい皆さん、是非、ご一読を。

脳を活かす仕事術

茂木 健一郎 PHP研究所 2008-09-10
売り上げランキング : 6515
by ヨメレバ

【7冊目】論文とはコミュニケーションの一形態/上手い文章を書くには



 プロフィールのところで公言しているように、私は「理系」に属するに人間である。

 そのため、論文を読んだり、それに近しいものを書いたりすることがある。

 そして、多くの場合、「読んだ論文」「書いた論文(のようなもの)」とのギャップにショックを受け、苦悩する。

 というのも、論じているテーマの難易に関わらず、私の文章は幼く、わかり辛いのだ。

 どうすれば、うまく書けるのか。

 この疑問を解決するため、私は本に頼ることにした。

 そこで出会ったのが、今回紹介する河野哲也『レポート・論文の書き方入門』である。

 この本のメインターゲットは大学生、特に文系の学生である。

 また、タイトルからもわかるように、論文だけでなくレポートに関しても言及している。

 本書の最たる特徴は、論文の書き方を説明する文章自体が論文の形式で書かれているところである。

 本書自体が具体例となっているため、説明の内容がどういったことを示しているのかが分かりやすい。


 実は、私がこのブログを始めるキッカケとなった本のひとつでもある。

 最初の記事にある

”そんなとき偶然ある数冊の本に出会い、「書評、テキスト批評」が読書によいということを知った。”

「テキスト批評」は、本書を通して知ったことの一つである。

 現時点では、まだまだテキスト批評を行うことは難しいが(主に能力的、時間的な都合で)、将来的には「テキスト批評」と胸を張って言える文章を書けるようになりたいと思う。

 さて、それでは、本書の心に響いた一文を紹介しよう。


”論文とはコミュニケーションの一形態で、・・・公共性を持った文章表現です。”(p.32)

 良い論文は分かりやすい。つまり、筆者とのコミュニケーションが上手くとれるのだ。

 逆に、悪い論文は、筆者とのコミュニケーションがとれない文章で作られていると言える。

 ここで間違えてはいけないのは、「会話のコミュニケーション」「文章のコミュニケーション」は別ものだと言うことである。

 分かりやすい会話をそのまま文章にしても分かり辛いことがあるし、その逆もある。

 そのため、会話が上手くなったところで、良い論文(文章)が書けるようになるとは限らない。良い論文(文章)を書くためには、当然、書き方を学ばなくてはならないのだ。

 また、筆者は「公共性」についても述べている。

 「公共性を持った文章」とは、不特定多数の人が目にする文章ということだ。

 では、公共性を持った文章には何が必要なのか。

 本書では「引用をあることを明示すること」と述べている。「誹謗中傷を行わない」といったモラルやマナーに関することも公共性と深く関わる。当然過ぎるため、本書では取り上げられていないが。

 
 文章を書くことは難しいことだ。それも「上手い文章」となるとハッタリは通用しない。

 会話の上達には「話す」ほかに、「聞く」ことも重要な要素なる。

 文章の上達も同様に、「書く」だけでなく、「読む」ことも重要であると感じる。

 コミュニケーションは相手との双方向性が大切である。

 文章は相手が見えにくいが、しっかりとコミュニケーションがとれるように、日々「読み」「書き」に磨きを掛けたい。


レポート・論文の書き方入門

河野 哲也 慶應義塾大学出版会 2002-12-13
売り上げランキング : 1891
by ヨメレバ